●黄金道路でときめいて
4時半、気を失ったかのようにグッスリ眠り続けたけど、目覚ましでバッチリ起きる。
辺りはまだ暗いけど、やっぱり旅は早朝から進まなきゃね。
着替えを済ませて、昨日の洗濯物を片付けながら気付いた。
やたらと足りないw
慌てて階下の洗濯機や乾燥機をのぞきに行ったけど見付からないw
ふと振り返って目に入った。
だれかが玄関の前にあるテーブルへ干してくれてるwwwww
ありがとう、分かりやすい場所へ置いてくれてw
もちろんみんなは眠っているので、こっそりとドアを開けて出発。
昨晩掲載した建物の写真なんかも、この時に撮ったやつね。
シロコを建物の中から引っ張り出してきて、出発する時に後ろから声を掛けられた。
「ちゃんと起きれたのね」って、お母さんから。
ちょうど犬の散歩へ出るところだったみたいで。
大漁旗は振ってもらわなかったけど、でも会えて良かった。
未だに今日どこへ向かうか決められないw
昨晩の宴会で、層雲峡の紅葉について聞かされたから、そっちへも行ってみたくなったのよね。
帯広から行ってみたらどうよ、って言われたんだけど。
ぬぅ・・・天気の悪さも含めて、どうしたらいいんだろうねぇ。
ひたすらに原野を走る。
原野って言い方は正しいのかどうか分かんないけどね。
道路脇からいきなりエゾシカが飛び出してきて焦ったよw
ブレブレで申し訳ないけどw
百人浜の当たりまで来ると、原野っぽさが増してくる。
あ、さっき鹿が撥ねられて、道路の真ん中で流血しながら死んでるのを見ちゃいましたよ。
しかし・・・あれだけデカい生き物が飛び出してくるとなると、車を運転してる方も怖いよね・・・。
13キロ走って国道へ復帰。
しかし・・・波は激しいし、天候も怪しいし、今日も荒れそうだわね・・・。
とはいえ、昨日の貯金というか、今日は強風の追い風という幸せがw
国道は昨日の後半と同じく336号線。
ただしここからは「黄金道路」という別名が付けられている。
夕日が美しいとか、そういう理由かと思ってたのに、もっと生々しい由来だったw
「黄金を敷き詰められるほど、建設に莫大な費用を投じ、断崖を切り開く難工事の末に開通したことが名称の由来」って、wikiに書いてあるのね。
昨年訪れた「雄冬岬」ほどではないにしろ、大変な工事だったんだろうねぇ。
実際、トンネルや覆道が連続しまくるもの。
あぁ、そうだ。
そういった意味じゃ、これまた昨年訪れた積丹半島の西側に似てるんだわ。
北海道最長の「えりも黄金トンネル」は約5kmもの長さw
いや、いいんだw
まだ早朝だし、そもそも昼間でも交通量は多いと思えないからw
※ wikiから画像をお借りしましたよ。
ここを見る限り、自転車で通れるトンネルとしては、寒風山トンネルに次いで二番目に長いのかも。
まぁ、とにかく長い。
ホントに終わりが来るのかと思うほど長い。
実際に10分以上ものあいだ、このトンネルを走ってたんだけどね。
せっかくの追い風を活かせないのが勿体ないけど、予想通り車の通行は殆ど無くて良かったよ。
GPSは拾えないので、出口まで一直線で表現されちゃうw
やっと抜けた・・・。
そう思ったのに・・・。
トンネルを抜けると雨でした・・・。
すぐ先にもう一つトンネルが見えてたので、そこまで走ってヤッケを着込むことに。
こういうとき、オルトリーブのバッグで良かったと心から思うのよ。
ほんと、このバッグの防水性能は抜群だから、嵐が来ようとも台風が来ようとも、わざわざカバーを掛ける必要が無いしね。
あまり強くない雨だけど、それでも身体を濡らすわけにはいかないのよ。
あっという間に、疲労や冷えへ繋がっちゃうからね。
トンネルではライダーも同じく雨装備に変身してるw
●この地へ辿り着いたと言うこと
30分ほどで雨は上がった。
んで、ついに「帯広/十勝エリア」に入った!!!!!
ついに来た!
「とかち」に!!!!!!
ご多分に漏れず、うちのニコマスとアイマスのスタートは「とかち」だったもんね。
その「とかち」に自分が辿り着いたこと!
そりゃ、荒ぶっちゃうでしょw
ある意味、うちのニコマス人生の原点だもの。
雲から少し顔を出した太陽も含めて、まさに「黄金道路」に相応しい風景。
眩しい。
これだ!これこそが、うちへの祝福だ!
その祝福に答えるために、うちも叫んでみたw
「とかち」への思いをありったけw
んで、現地から直接アップロードしてみたw
実は十勝地方の何処かでやってみたかったんだよね。
この「心からの叫び」をw
とはいえ、さすがにうちでも、人目に付くところでやる勇気は無いw
早朝の海岸線ってのが、ちょうど良かったのよw
●やっと行き先を決める
まだまだ北上し続ける。
けど、だんだんと追い風も弱くなってきたねぇ。
とっても素敵な名前だったので撮ってみた「音調津橋」。
左手の斜面から水が湧きまくってる場所が現れる。
「フンベの滝」と呼ばれるこの場所は、川が滝になってるわけじゃなくて、岩盤から染み出た地下水がそのまま滝になって、そのまま海へ流れていくという珍しい風景らしいよ。
とにかく涼しげで、細い滝なんだけどそこら中で結構な水量が出てるのよ。
こないだ行った高千穂に、ちょっとだけ似てるw
国道は一旦海岸線を離れて、広尾町の中心地へ入る。
いよいよ決断の時がきたよ・・・。
このまま国道336号線を走り続けて釧路へ向かうか、236号線を通って帯広へ向かうか。
まぁ、朝食を食いながら考えるかw
ちょうど目に入ったセイコーマートでw
う~ん・・・やっぱり釧路へ向かおうかなぁ・・・。
何よりもやっぱり、アイモバ的に道東をある程度潰しておきたいって気持ちが強いしw
そうしよっか・・・。
●国道だけど「抜け道」
決まったなら話は早い。
釧路へ向かうなら、もう一つ気になってたことがあったのよ。
広尾の市街地を出ると国道は内陸部を走るけど、そのまま海岸線を一直線に進む道道1037号線ってのがあるのよね。
その真っ直ぐっぷりと、内陸を回避することによるアップダウンの回避と、国道よりも交通量は少ないであろう事などを勘案して、そちらを走ってみたいなぁと。
「黄金道路」から「ナウマン国道」という面妖な別名に名を変えた国道336号線に一時別れを告げ、道道1037号線へ入ったのはちょうど8時。
この時には全く考えもしなかった道が、今スタートする・・・。
さっきの地図にもあったように、道道1037号線はひたすらに直線。
どうやら7kmほど直線が続くらしいよ。
とはいえ、ほぼ森に囲まれていて、特別に見晴らしがいい訳じゃない。
交通量は多くないけど、ダンプが多いのはこういう道のお約束かな。
んで、なんだかんだで緩めのアップダウンは続く。
9時、ずば~っと永遠に続く一直線の道を走り終え、再びナウマン国道へ合流する。
あぁ・・・この快適な道もここでオシマイか・・・なんてこの時は思ってましたw
国道に入れば交通量も増えて、走りにくいんだろうなぁと。
ところが思わず国道との十字路に気付かないほど、ナウマン国道は「限りなく県道っぽい」道だったのよ。
表現しにくいんだけど、適度な田舎に住んでる人なら伝わるかな。
「この県道を通れば近道になる」って感じの、峠越えみたいな道、というかw
とにかく「国道」とは名ばかりの「単なる田舎道」w
いや、道路そのものは綺麗で走りやすいよ。
交通量も遙かに少ないしね。
つまり、道道1037号と状況は変わらないw
ただね、もうひたすらに「森か農地が続くだけ」の丘陵地なのよ。
ただひたすらに登ったり下りたりしながら、「抜け道っぽい道」が続くのね。
もっとハッキリ言おう。
最初は気持ちいいけど、途中からは退屈だわw
その上、ずっとアップダウンがあるから、決して楽じゃないのよw
しかし、自転車大会なんてかには、ピッタリの道だと思うなぁ。
あ!畑の中を丹頂鶴が歩いてる!
さて、さっきも書いたように、この道はダラダラとしたアップダウンがひたすら続く。
決してきつい斜面はないんだけど、何度も何度もアップダウンが続くのね。
ほら、これがナウマン国道に合流してから、国道が終わるまでの標高推移。
約40kmもの間、こんな感じで平地っぽい所は殆ど無いのね。
その登りの最中に、向かいから不思議な自転車がやってくる。
白いヒゲを蓄えた白人の爺さんが、ママチャリで向かってくる!
どう見てもツーリングっぽくないチャリと格好なのに、荷台に積んでる荷物から判断すると、どう見てもツーリングだ!これ!
どうなってんだ!この爺さん!
とりあえず、お互いに「コニチワー!」と挨拶をして擦れ違うw
●北海道砂漠
天気はどんどん良くなる。
それにつれ、気温もどんどんと上がり、水分補給が増えてくる。
これまたちょっとした坂を登った所にあった自販機で、オランジーナを補給。
こんな日の坂道のてっぺんには、炭酸飲料がよく似合う。
それにしても・・・確かに今年の北海道は暑すぎるな・・・。
「晩成温泉」の案内看板があるけど、地図でチェックしてみると遙か海側。
寄り道するわけにもいかないなぁ。
なんて思いながら先へ進んでると、遙か前に小径車が見えたのね。
追いついてみると、明らかにツーリング。
ビアンキの小径車にキャリアを付け、リヤバッグを引き摺るように(でも、引き摺ってはない)装着し、クルクルとペダルを回すオッサン。
声を掛けてみると、昨晩はさっきの晩成温泉へ泊まったんだって。
「今日も頑張りたいけど、もう脚が痛すぎるので、駅まで走って輪行するつもり」って言ってた。
そりゃやっぱり、小径車だとしんどそうよねぇ・・・。
でも、列車での遠征用に、ブロンプトンとかが欲しいなぁ・・・。
登っても下っても、いつまで経ってもひたすら続く「森の中の道」。
こんなにも人気(「ひとけ」)のない道だなんて、思ってもみなかった。
こんなにも何もないと思ってもみなかった。
そう、そろそろ水が尽き始めつつあるのよ・・・。
この日、初めて「知り合った」あおちょさんによると、この道は「ヤバイ」らしいw
そんなこと、思ってもみなかったw
釧路へ抜けるための、気軽な道としか思ってなかったw
でも、そうじゃなかった・・・。
水が切れるのは怖い。
それはまだロードバイクに乗る前の6年前、四国の山の中で実感したこと。
お盆休みに初めての讃岐うどん巡りを、初めてチャリンコツーリングした時に、灼熱地獄なのに水が切れて、店も自販機も住居も無くて死にたくなったんだよねw
というわけで、今日もさっきから「出来る限り一口ずつ飲む」なんていう、砂漠の探検隊みたいなことになってるw
ほら、「ミク先生」の向こうに見える標識には、無情にも「釧路100km」って書いてあるけど、それよりも「おそらくまともな街であろう」浦幌も28kmって・・・。
下手すると、あと28kmは無補給って事よね・・・。
森が突如として開けて、巨大な橋が目に入ったのは110km走った11時過ぎ。
どうやら「十勝川」らしいよ。
むっちゃ立派な橋よね。
平仮名で「とかち」って書いてあると嬉しいw
ホント、バカw
橋を渡り始めて驚いた・・・。
十勝川、デカ過ぎだろ・・・。
アマゾンかよ・・・。
どう見ても、水分や食料を補給できるとは思えない。
上流からボートで移動店舗がやってきて欲しい・・・。
十勝川を過ぎて4kmほど、ナウマン国道は転機を迎える。
このまままっすぐ海岸線沿いに続いてるんだけど、その先で突然国道は終わるw
国道が終わると未舗装のダートが3km、その先はさらに海岸線沿いに道道が続いている。
面白そうではあるけど、ロードバイクでダートを走れるわけもなくw
それにただでさえ飢え死にしそうな状態なんだよw
さらに未開の地へ進んでどうするんだよw
というわけで、浦幌へ向けて内陸へと進路を取る。
どっちも同じナウマン国道なんだけどね。
内陸へ入ると、先ほどとは打って変わって一面広がる畑。
んむ、コレこそが割とイメージしやすい「十勝平野の風景」だわ。
よそ者の勝手なイメージだってのは自覚してるけどw
とっても気持ちいい。
先ほどまで森で鬱々してた身としてはw
とりあえず文明生活の息吹を感じることが出来たので、最悪の場合はどこかの農場へ駆け込んで水を貰おうw
飢え死にすることはないだろうw
そして11時37分、養老という地区の三叉路でついに自販機を発見!!!!!!
あった!
あったああああああああああああああああああ!
本当に砂漠でオアシスを発見した気分だわw
水分切れの危機を感じてから既に1時間、ようやく恵みの場所へたどり着いたよ・・・。
助かった・・・。